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親愛なるEへ、嘘偽りのない21gを

〇エリファレット♂
14歳。落ち着いていて、かつ真っ直ぐな性格。賢い上、戦闘センスが抜群。王直属の近衛騎士。孤児であったところを王に拾われ、それ以来王を心から尊敬し、付き従うことを決意した。

〇エドワード♂ 
30歳。常に穏やかな表情で話す王。緊張感のある場が苦手。よく城を抜けては街を散策しており、その人当たりの良さから、国民からの信頼は厚い。友人をとても大切にする。

〇アイラ 不問
21歳。軽い口調でテンションが高い。王立研究所の博士の一人。しかし、周囲の学者を「近代科学に自惚れている」として嫌っていると同時に、周囲からも「オカルト好き」と嫌われている。エリファットともエドワード王とも対等に、親友のように接する。


(2:0:1)
エリファレット♂:
エドワード♂:
アイラ 不問:


***


アイラN「当時、その少年に名前はなかった」

エリファレット「はぁっ…はぁっ…!」(誰かに追われて走る)

アイラN「残念ながらこの国では、名も無き子が一人で生きていることは珍しくはなかった」

エリファレット「はぁっ…はぁっ………っ!?」(途中で目の前の人影に気が付く)

アイラN「そのような名も無き子が、生きていくために盗みをはたらくことは、最早常識でもあった」

エドワード「どうして、そんなに慌てているんだ?」

エリファレット「返してやりたくてっ…悪い、ちょっと通してくれ!」

アイラN「後ろから迫りくる男は、名も無き少年に罵声を浴びせた」

エドワード「貴殿は、まだ小さな少年に随分と冷たい言葉を使っていらっしゃるが、何事かあったのでしょうか?」

アイラN「男は『少年にペンダントを盗まれた』ことを伝えた」

エリファレット「違う!この男が誰かからペンダントを盗んできたんだ!汚い自慢話が耳障りだったから、俺が持ち主に返してやろうと思って!」

エドワード「…少年はこのようにおっしゃっておりますが…?」

エリファレット「言っておくが、言い逃れはできねえぞ!この金縁のところに、名前が彫ってあるからな!」

アイラN「少年が指し示す部分には、確かに小さく『Dear Elie(ディア エリー)』と刻まれていた」

エドワード「………なるほど、そうか」

アイラN「男は醜くも、目を血走らせながら少年を罵り続け、ペンダントは自分のものであると訴えた………が、相手が悪かった」

エドワード「エリーは私の妹の名前だ。結婚祝いにこっそり贈ってやったペンダントだが………確かそれにそっくりだったな。腕のいい細工師に頼んで、同じように彫らせた記憶もある」

エリファレット「………」

エドワード「そう言えば、先日妹の部屋に盗みをはたらいた者がいたらしい。その時に、私が贈ったペンダントが盗られてしまったとか…」

アイラN「真っ赤だった男の顔は途端に青ざめた」

エリファレット「あ!!待てあのやろっ」

エドワード「まあ待ちなさい、少年」

エリファレット「離してくれ!あのコソ泥、俺を侮辱しときながらっ………!!」

エドワード「………君は誇り高い男のようだ」

エリファレット「当たり前だ!俺以外誰も俺を誇りに思ったりしないんだぞ!?」

エドワード「そうか?私は君を誇りに思うよ」

エリファレット「偽善はいらない!」

エドワード「同意見だ。君とはいい友になれそうだ」

エリファレット「…あんた、見たところいいところの出自だろ。名前も無い俺を相手にするもんじゃねえよ」

エドワード「いや、絶対に友になれる。なにせ、盗難品を持ち主に返すだなんて無謀なことを、本気で考えるような君だからね」

エリファレット「………俺はあのまま自分のものにするつもりだったかもしれねえが?」

エドワード「もしそうなら、あんな小さな文字を見逃さない君のことだ、私という目撃者を見つけた瞬間、そこの路地に曲がって走ったんじゃないか?」

エリファレット「………」

エドワード「私も仕事柄、人を見る目はある方だ。誇り高い友人の願いを聞いてやりたいと思うんだが………持ち主に返してやりたい、だったかな?喜んで、叶えてあげよう」

アイラN「男は少年からペンダントを受け取ると、そのまま少年の首にかけた」

エリファレット「…は?」

エドワード「実は、私に妹なんていないんだ。このペンダントは誰にもバレないよう私が一般女性に贈ったものだが、こっぴどくフラれてしまってね。彼女の名前はエリーと言う」

エリファレット「…は??」

エドワード「きっと先ほどの男はエリーから盗んだようだが…これで、持ち主の元に返すことができたわけだ」

エリファレット「おい、俺は…」

エドワード「君の名前はエリファレット。私の親愛なる友人エリーだ」

エリファレット「………な…何言って…」

エドワード「どうかしたかい?エリー」

エリファレット「………性格悪いな、あんた」

エドワード「そうかい?あまり言われないが………おっと忘れてた。私の名前を教えていなかったね。私はエドワード・イングロード。よろしく」

エリファレット「お…おい、イングロードって…まさか…」

エドワード「おや、気づいていなかったのかい?いやそうか、新聞やラジオで情報を得る機会も無ければ、城下のような栄えた街にもなかなか行かないだろうから…顔を知らなくてもなんらおかしくはないか」

エリファレット「あんた…この国の…」

エドワード「それでも名前だけでも知っていてくれて嬉しいよ。そう、私はこの国で王子をさせてもらっている」

アイラN「この男から漂う気品の正体がわかり、少年エリファットは驚くと同時にどこか腑に落ちたような様子だった」

エドワード「ところでエリー。私は君にお願いがある」

エリファレット「………何でございましょうか」

エドワード「ああ、今まで通り接してくれ。…君には騎士学校に入ってもらいたいんだ」

エリファレット「騎士…学校…?」

エドワード「ああ。君は賢く強い男だ。その実力を存分に見せつけてやってくれ。そうすれば私は、君を近衛騎士として堂々と側に置くことができ、君と一緒にこの国を護ることができる。とても大変なことを願い出ていることは承知しているが、どうしても君が必要なんだ、エリー」

アイラN「エリファレットは、ペンダントを首からかけられたその時から」

エリファレット「…わかった。あんたの願い、聞いてやるよ。友達だしな」

アイラN「エドワード王子を敬い、慕い始めていた」


***


アイラ「はーい今日の実験終わりー!おっつかっれさん!」

エリファレット「…長い」

アイラ「そんなに怒んないで!ほーら飴ちゃんあげるからさあ」

エリファレット「要るか!叩き斬るぞ!?」

アイラ「だめだめー!そういうのを職権乱用って言うんだよ。近衛騎士さん」

エリファレット「こいつっ………」

アイラ「ところで、エリファットは我らがエドワード王の願い通り、近衛騎士として活躍しているわけだけど………どうだい?幸せかい?」

エリファレット「んなわけあるか。戦争真っただ中だぞ」

アイラ「そりゃそうだーごめんごめんー」

アイラN「先代の王が暗殺されたことをきっかけに始まったこの戦争は、エリファレットが騎士学校に入ってすぐに勃発した。戦闘センスの抜群に良いエリファレットは、すぐに最前線に送られるも、ベテランの兵も次々に命を落とすその場で、見事活躍し生き延びて見せた。彼が最年少で近衛騎士となることに、異を唱える者などいなかった」

エリファレット「…この実験、貴重な時間を割いてまで続ける意味はあるのか?」

アイラ「あるに決まってるだろ!?君の記憶を取り戻し、出自をはっきりさせることは、意志の強化につながるんだから!」

エリファレット「だから、それに意味はあるのかと聞いている」

アイラ「意志の力は偉大だよ!人間の意志が物理的な力として影響力を持っていることは多くの実験で示唆されている!それを証明することこそ、私の存在意義だ!」

エリファレット「………お前がオカルト科学者と言われる理由がよくわかった」

アイラ「周りの奴らがおかしいのさ。人間の脳は10%しか使われていない、宇宙の96%は未知の物質でできている、つまり世界には未だ私達の知らないことで溢れている!それなのに、『オカルト』の言葉で切り捨ててしまうのは学者として恥だ!」

エリファレット「わ…わかった。悪かったな」

アイラ「わかってくれるのかいエリファレット!!」

エリファレット「はぁ………ん?あの空き瓶はなんだ?」

アイラ「!!………やっぱり、気になっちゃうかい?」

エリファレット「!?………いや、気にならない。そろそろ作戦会議の時間だ。また明日頼む、アイラ博士」

アイラ「えええ!?あ、ちょっと!!………行っちゃった」

エドワード「私は気になるね。あの空き瓶は何だい?」

アイラ「うおわああ!!?エ、エドワード王!?いつからいたの!?ってか、また執務室から抜け出したんだね………」

エドワード「さっき来たばかりさ。エリーの様子はどうかと思ってね」

アイラ「相変わらずだよ?子供らしくない、従順で真面目な近衛騎士だった」

エドワード「記憶は?」

アイラ「覚えている過去を話してもらったり、その時の脳波を見たりしたんだけど………だめだね。まるで存在していなかったかのようだよ」

エドワード「そうか………」

アイラ「ところで、あの空き瓶のことが気になるんだよね!?」

エドワード「ああ。ぜひ話を聞きたいな」

アイラ「ふふふっ…実はね、あの中には人の魂が入っていると私は考えているんだ」

エドワード「た…魂…かい?何も入っていないように見えるんだが…」

アイラ「人は死ぬことで、おおよそ21g軽くなるという実験報告があるんだ。あの瓶自体の重さは150g。今あの瓶は171gを示している。…つまり」

エドワード「何も入っていないように見えるけれど、21gの何かが入っているというわけか」

アイラ「そう!」

エドワード「開けて確かめたら大発見じゃないか!」

アイラ「だめだよ!開けたら魂がどっか行っちゃうかもしれないじゃないか!」

エドワード「………しかしそれでは、永遠に何が入っているのか確かめられなくないか?」

アイラ「いい方法を思いつくまで、大切にとっておいてあるのさ!もし魂が存在することが証明されたら…私の意志の力の研究にも大きな一歩を踏み出すことができる!」

エドワード「楽しそうだね、アイラ」

アイラ「なんたって好きなことを研究させてもらえているのだからね!」

エドワード「それは何よりだ」

アイラ「ところで、エドワードは作戦会議とやらに出席しなくていいのかい?王様なのに」

エドワード「ああ。私の考えは昨晩エリーに全て話しておいた。ああいう張り詰めた空気が、私は苦手でね」

アイラ「エリー…ああ、エリファレットのことか!かわいい愛称だね。私もそう呼ぼうかな」

エドワード「本当に叩き斬られるぞ?あいつは大人しそうに見えるが意外と短気だ」

アイラ「知ってるよ。もう50回は斬られそうになってるもん」

エドワード「………おっと。そろそろここにいるのがバレそうだ」

アイラ「え?どうしてわかるんだい?」

エドワード「そうだね………私の『逃げたい』という意志の力かな」

アイラN「この王には人を引き寄せる不思議な魅力がある。エリファットをはじめとし、有能な人物からは特にそうだ。だからこの国は、国民の結束力も高ければ、戦力も申し分ない。この戦争で勝利を収めることは難しくないと、私も信じていた」


***


アイラN「しかし、明らかな戦力差をものともせず、敵国に押され始めていた。…理由はたった一つ」

エリファレット「この国にスパイが紛れ込んでいる。でなければ、ことごとく作戦が読まれていることの説明がつかない」

エドワード「…なるほど。それも、かなり上層部にいるな。一国を治める者としては、信じがたいことだが…事実のみで考えなければ私の国を護れない」

エリファレット「査問会を開くべきだ。スパイをあぶり出せれば、逆に奴らの情報を手に入れることだってできる」

エドワード「それどころか、間違った情報を与え誘導することも可能だな」

アイラN「すぐさま国の上役全員が、脳波を調べられながらの査問にかけられるが、該当者は見つからなかった。だから、エリファレットは今日の実験中もひどくイライラしていた」

エリファレット「くそっ!!」

アイラ「ちょっとちょっと!落ち着いてくれないと、とても記憶を取り戻せないよ?」

エリファレット「そんなもの要らない!!何の役に立つ!!」

アイラ「でもこれ、王の勅命だからさ」

エリファレット「………くそっ!!」

アイラ「………君は本当に、エドワードに弱いよね」

エリファレット「………あいつが………あいつが俺を認めてくれたから…」

アイラ「ああ。君たちが出会ったときの話だね。やっぱり、それより前の記憶はないのかい?」

エリファレット「………思い出せない」

アイラ「そっか…」

エリファレット「………あいつのためにも、この手でスパイを叩き斬ってやる………絶対に………絶対にっ!!」

アイラN「エリファレットが強くペンダントを握りしめたその瞬間、彼の顔つきがみるみるうちに変わっていった」

アイラ「………どうかした?」

エリファレット「………」

アイラ「ん?…」

エリファレット「………俺は…」

アイラ「おーい、エリファレット?」

エリファレット「………いや、なんでもない」

アイラN「どこか遠くをみつめたまま、エリファレットは作戦会議のため研究室を出て行った。………この時気づいていたら、私は…彼を………」


***


エドワード「この前線が突破されたとして、その先には大渓谷が待っているだけだ。ならば、このまま消耗戦を続けるのではなく、一度退いて敵兵を誘い込む方が…」

エリファレットN「体中に繋がれた電極…謎の液体に満たされたビン………あれは、一体…」

エドワード「…ト………エリ………!エリファレット!!」

エリファレット「!?………エドワード?悪い、なんだ?」

エドワード「会議は終わったぞ。昨晩話し合った通りになった。………大丈夫か?随分、顔色が優れないようだが…」

エリファレット「…悪い。大丈夫だ」

エドワード「…そうか。何かあったらすぐに言うんだぞ」

エリファレット「…ああ、当たり前だ。言われなくとも、お前に真っ先に伝えるさ」

エドワード「………そうか、安心したよ。私はこれから、兵達に作戦を伝えてくる。この戦いに終止符を打てるかもしれない、重要な作戦だ。士気を高めるに越したことはない」

エリファレット「ああ…そうだな」

エリファレットN「あれは…あの景色は………俺は、一体…」


***


アイラ「よし!今日も楽しく実験しようかー!」

エリファレット「…」

アイラ「…エリファット?最近、調子悪いのかい?」

エリファレット「…あ…すまん。問題ない」

アイラN「今日の実験も、何も成果が得られず、ただエリファレットと楽しく話して終わるんだと、どこかでそう思っていた。………だけど」

エリファレット「っ!!あ…頭が…!!」

アイラ「ど、どうしたの!?」

エリファレット「うっ………あ………」

アイラ「い、医者を呼んでこようか…!?」

エリファレット「………そん…な…」

アイラ「エリファレット…?…って、何この反応!?脳波が…!!」

エリファレット「……………まずいっ」(部屋を飛び出す)

アイラ「エリファレット…?ちょっと、エリファレット!どこに行くの!?」


***


エリファレット「はぁっ…はぁっ…!!早くエドワードにっ!!!」

エドワード「私が、どうかしたかい?」

エリファレット「!?」

エドワード「ひどい顔色だ。体調でも悪いのか?」

エリファレット「エドワード!!俺………俺はっ………!!」

エドワード「落ち着け、まずは深呼吸だ。吸って………吐いて………よし、大丈夫か」

エリファレット「エドワード………思い出したんだ…いや、思い出させられたのかもしれない…」

エドワード「記憶か!?」

アイラ「はぁっ…はぁっ…はぁっ………やっと…追いついたっ…!」

エリファレット「エドワード………スパイは、俺だった」

アイラ「え?」

エドワード「………」

エリファレット「俺に…親はいない…。俺は、造られた人間だったんだ」

アイラ「造ら…れたって………」

エリファレット「スパイのために造られた…それだけの命だ…」

アイラ「人造人間………ホムンクルス…!!まさか、そんなことが可能だなんて…!!」

エリファレット「俺の考えは全部向こうに伝わるようになってる…そういうふうに造られた………」

アイラ「でも、それなら好都合じゃないか!敵に誤情報を与えて…」

エリファレット「俺が『思い出した』ってことも、あっちに伝わってるんだよ!」

アイラ「………そんな…」

エリファレット「査問会を開いた時点で、兵に疑念が生まれた。混乱により結束力は最早ないに等しい。この状態であっちが勝負に出てきたら、とても太刀打ちできないだろう。城も、その周囲の状態も、なにもかも俺が『覚えてしまっている』。この状況を打破するたった一つの方法は…」

アイラ「や…やめてよ…エリファレット」

エリファレット「エドワード………王であるお前が、スパイである俺を処刑することだけだ」

アイラ「ほ…他に方法があるよ!!君が死ぬ必要のない方法が!!どこかに必ず!!この世界は無限の可能性でできているんだから!!」

エリファレット「その方法が見つかるのは、国が滅びてからか…?」

アイラ「っ………」

エリファレット「俺は………何で生まれてしまったんだ………全く必要のない命だった………いや、それどころか………。頼む、エドワード!!もう何も考えたくない!!これ以上お前を不利にしたくない!!頼む!!俺を………殺してくれっ!!!」

エドワード「………」

アイラ「エドワード…何で…何で無線機なんか取り出して………」

エドワード「近衛兵団長か。至急伝えたいことがあるんだが…」

アイラ「エドワード!ねえっ!!」

エドワード「敵国のスパイは、近衛騎士エリファレットだった。今、王立研究所内1階の…」

アイラ「君たちは友達なんだろ!!?エドワード!!!」

エドワード「ああ、よろしく頼む」

アイラ「エドワード!!!!」

エドワード「………アイラ。私とエリーは間違いなく友だ。だからこそ、私は友の頼みを無下にはしない」

アイラ「………」

エドワード「近衛騎士達が、じきにやってくる。武器を携えてな」

エリファレット「ああ…こんな命、早く消してくれ…」

エドワード「その前に、お前に言わなければならないことがある」

エリファレット「やめてくれ…もう何も考えたくない…何も感じたくない…」

エドワード「私は、お前が誇り高い男であるから、友でありたいと思った。名前も何も無いお前が唯一持っていたものが、誇りだ。それがどれだけ美しいことかわかるか?正直私は、名前も何も無いその状態になって、自分に誇りを持つことなどできないだろう。でも、お前は自分の価値を信じて疑わなかったんだ。だからこそ私も、お前の価値を信じようと思った」

エリファレット「それはただの幻想だったんだ。俺に価値なんてなかった…」

エドワード「いいや違うな。確かに価値はあった。私はよく人を引き寄せる力がある、なんて言われ方をされるが、エリー…君の方がよっぽどその言葉にふさわしい男だ。その証拠に見てみろ、アイラは君が死なない方法を未だに考え続けている。これから来る近衛騎士団長も、情に厚い男だから、きっと大泣きしながら現れるだろうな」

エリファレット「………俺は…」

エドワード「君が思っている以上に、周りは君を評価している。君が思っている以上に、私は君を敬い慕っている。君が友であることを、心から誇りに思うよ」

エリファレット「………エドワード…」

エドワード「何だい?」

エリファレット「前から思ってたんだが………このペンダントを、お前に渡したい。…やっぱり、持ち主に返さないとな」

エドワード「………友の頼みだ。喜んで受け取ろう」

アイラN「その後、近衛騎士団長は大泣きしながら現れた。彼からピストルを受け取ったエドワード王は、エリファレットの頭を撃ち抜いた。二度と動かなくなったエリファレットの首からペンダントをとると、すぐさま王は作戦会議を開くため、上級兵に召集をかけた」


***


エドワード「やあ、アイラ。元気にしてるかい?」

アイラ「うおわああ!!エドワードまた抜け出したのかい!?」

エドワード「もう戦争も終わったんだ。多少抜け出したって許されるだろう?」

アイラ「いやいやぁ…お仕事いっぱいあるんじゃないの?」

エドワード「そんなことより、君に頼みがあってきたんだ」

アイラ「ん?なになに?」

エドワード「このペンダント、持ってみたことはあるか?」

アイラ「あるよ!エリファレットに黙ってこっそりと!」

エドワード「…ちょっと持ってみてごらん」

アイラ「?………え」

エドワード「な?」

アイラ「いや…え?………え??」

エドワード「頑固者だと思っていたが、まさかここまでとはな!」

アイラN「気のせいかもしれないが、ペンダントはわずかに重くなっているような気がした。また、金縁に刻まれていた文字は、一部が埋められ、消されていた」

アイラ「Dear E…あれ、Elieじゃなかったっけ…?」

エドワード「嘘偽りない…ってところか。本当に………誇らしい魂だな」

FIN.

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