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​ポカリスケット

○ユーイ:不問
正体不明の人型の化け物。羽と角が生えている。ちょっと色黒。瞬間移動ができる。
ひとだすけを個人的にやっている。普段は「なんでも屋」として生計をたてている。
見た目の問題から、インターネットを通じて仕事の依頼や、たすけを求めている人を探している。
新しい発見が好き。好奇心旺盛で心優しい。嘘は絶対につかない。
明らかに人とは違う姿であることから、学校に通うことができなかったが、知識欲が強く、哲学的な話が大好き。
文字の読み書きなど生活に必要なことは、昔たまたま出会ったホームレスのおじいさんに教えてもらった。その恩を受け、人だすけをするようになった。

○ポカリ:♂
14歳。不登校の中学生。ネット上では、「アポカリプスの漆黒」という名前で、ゲームやチャットをしている。
母親と二人暮らし。母親が夜勤でいない日などは特に、夜更かしする。
小学生の頃は、学校に大きな問題はなく通えたが、成長とともに次第に「集団生活」に馴染めなくなる。いじめにあったり勉強についていけなくなったわけではないが、漠然と「学校が怖い」と感じるようになり、不登校になっていった。
母に心配をかけていることに申し訳なさを感じているが、学校に行けない自分とのギャップについていけず、ネットの世界に浸ることで逃避を繰り返している。
ネットにどっぷりであることと、中二病が重なって、「アポカリプスの漆黒」という名前を自分では最高にかっこいいと思っている。


(1:0:1)
ユーイ 不問:
ポカリ ♂:


***


ユーイ「やあ、はじめまして」

ポカリ「…はじめ、まして」

ユーイ「あれ、緊張してる?」

ポカリ「いや、別に…してないです」

ユーイ「そっかー。僕は緊張してるよ。なんたって、こうやって知らない人と通話するの、はじめてだからね」

ポカリ「…うっす」

ユーイ「えーと…『アポカリプスの漆黒』君は、こういうの、やったことあるの?」

ポカリ「いや、まあ…別に…」

ユーイ「そっかそっか、君も初めてか。良かった、安心したよ。ところで…『アポカリプスの漆黒』君は、学生なんだっけ?」

ポカリ「まぁ…そっすね。『ユーイ』さんは…社会人?」

ユーイ「うーん…まぁ、学生ではないかな?僕が社会を回しているとは思っていないけれど」

ポカリ「ニート?」

ユーイ「歯に衣着せないねぇ…。一応、それなりの仕事はしているよ?」

ポカリ「何してんの?」

ユーイ「そうだなぁ…人だすけ、かな?」

ポカリ「ふーん。自衛隊?」

ユーイ「何かに所属してはいないかな。個人的な感じ」

ポカリ「あー、自営業?」

ユーイ「おいおい『アポカリプスの漆黒』君。君が質問ばかりでずるいぞ?」

ポカリ「あ、すんません」

ユーイ「『アポカリプスの漆黒』君………あー、これ長いなぁ。何て呼ぼう?」

ポカリ「いや、まあ…好きなように」

ユーイ「アポカリプス…漆黒…うーん、アポ…カリ…あ!ポカリ君にしよう!」

ポカリ「えっ」

ユーイ「なんだか爽やかでいい感じ!ポカリ君!うんいいね!学生らしい!」

ポカリ「いやそれはちょっと…」

ユーイ「おいおい、好きなようにって言ったのはポカリ君だろ?いいじゃないか、ポカリ君で!」

ポカリ「…うす」

ユーイ「ポカリ君は、学生だったよね。何歳?」

ポカリ「…17」

ユーイ「おお?思っていたより上だなぁ。そっか、高校生かぁ」

ポカリ「…」

ユーイ「17っていうと…高校2年生?普通科?」

ポカリ「?…ふつうなんじゃないっすか?」

ユーイ「ん?自分の入った高校だろう?普通科とか商業科とか、それくらいはわかるだろう?」

ポカリ「あー、そういう。それ、普通のやつ」

ユーイ「そうかそうか。すると、文理選択とかがあるタイプかな?どっちにしたんだい?」

ポカリ「…分離?」

ユーイ「文系と理系、どっちにしたんだい?」

ポカリ「あー…理系」

ユーイ「おー!すごいね!理系だと…微分方程式とかはもう習ったかな?微積は楽しいよねぇ!次元を変えて物事を考えるっていうのは、発想が素晴らしいと思うよ!」

ポカリ「…そっすね」

ユーイ「いやぁ僕も高校に通っていたら、間違いなく理系を選んだだろうなぁ。」

ポカリ「…ユーイさん、中卒なんすか?」

ユーイ「何卒でもないよ。どこも卒業してない」

ポカリ「は?義務教育どうしたんすか」

ユーイ「まぁ、人にはいろいろ事情があるからね」

ポカリ「いやいや、義務っすけど」

ユーイ「ポカリ君、何か勘違いをしていないかい?それ、『教育を受けさせる義務』だからさ。『教育を受けなければいけない』じゃないんだよ。子どもじゃなくて、大人に課せられた義務なの」

ポカリ「…へー…ん?」

ユーイ「つまり、そういうこと」

ポカリ「…大変だったんすね」

ユーイ「まぁ僕は、ちょっと特殊だからね。しょうがないんだ」

ポカリ「特殊?」

ユーイ「おっと!今何時だい?」

ポカリ「え?あー、あと3分で0時まわるけど」

ユーイ「いけない!すまないが、約束があるんだ。また今度、続きを話そう!」

ポカリ「は?こんな時間に?」

ユーイ「人にはいろいろ事情があるからね。ポカリ君、明日また同じ時間、空いていたりするかい?」

ポカリ「え、まあ…」

ユーイ「それじゃ、また明日!おやすみ!」

ポカリ「あ、ちょっ………終わった…。…何の約束だよ」


***


ユーイ「やあこんばんは!昨日ぶり!」

ポカリ「うす。約束、間に合ったんすか?」

ユーイ「ん?ああ。おかげさまでね」

ポカリ「…よかったっすね」

ユーイ「お!ありがとう!」

ポカリ「…続き」

ユーイ「…ああ!昨日の続きね!えっと…何を話していたんだっけ僕ら」

ポカリ「ユーイさんが特殊って話」

ユーイ「あー、そうだったね。僕が特殊ってね」

ポカリ「…」

ユーイ「…」

ポカリ「…何が、特殊なんすか?」

ユーイ「…何だと思うかい?」

ポカリ「え」

ユーイ「僕の、何が、特殊なんだと思うかい?」

ポカリ「いや…知らないっす」

ユーイ「おいおい想像力が足りていないぞ若者!理系とは思えないぞ!」

ポカリ「いや理系関係なくないっすか」

ユーイ「何?大ありだよ!数学も物理学も、イマジネーションがなければ話にならない!あ…さては君、あんまり勉強してないな?」

ポカリ「…うるさいっす」

ユーイ「いい機会だ!想像力を鍛えてみよう!僕の何が特殊か、あててみたまえ!」

ポカリ「…」

ユーイ「…」

ポカリ「…IQ200」

ユーイ「ブッブー」

ポカリ「スーパーギタリスト」

ユーイ「ブッブー」

ポカリ「何かの、世界チャンピオン」

ユーイ「ブッブーって、さっきから全然特殊じゃないんだけど?そんなの、ありきたりだよ!」

ポカリ「ありきたり…か?」

ユーイ「僕から言わせれば、ありきたりだね」

ポカリ「…ヒント」

ユーイ「ヒント?しょうがないなぁ…ヒントかぁ…。…外見に関すること、かな」

ポカリ「身長2m」

ユーイ「ブッブー」

ポカリ「体重100kg」

ユーイ「ブッブー」

ポカリ「…アルビノ」

ユーイ「ブッブッブー!…よくアルビノ種のことなんて知ってるね」

ポカリ「ネットで見た」

ユーイ「うーん現代っ子!でもブッブー!」

ポカリ「…何なんすか、答え」

ユーイ「全く…ポカリ君、全然想像力が足りないよ。しょうがない、1個だけ教えてあげる」

ポカリ「…」

ユーイ「…僕ね」

ポカリ「…」

ユーイ「羽が生えているんだ」

ポカリ「…は?」

ユーイ「羽、生えてるよ、僕」

ポカリ「…あー、そういうね」

ユーイ「何だい?もっと驚いてもいいじゃない」

ポカリ「…いや、驚いてるよ」

ユーイ「そうなのかい?それじゃ、他にもあててごらん?」

ポカリ「他?」

ユーイ「そう。羽だけじゃないんだ、僕の特殊なところ」

ポカリ「…ツノ?」

ユーイ「お、正解!他には?」

ポカリ「………キバ」

ユーイ「あー残念!キバは無いんだ!普通の歯が24本並んでるだけ」

ポカリ「ウロコ」

ユーイ「残念!僕の肌はきめ細やかな肌だよ。あ、でもちょっと色黒かな」

ポカリ「ふーん…そりゃ特殊だね」

ユーイ「でしょ?生まれつきこんなんだからさ、学校とかちょっと行けなかったなぁ。…行きたかったんだけどね」

ポカリ「…」

ユーイ「いいなぁ、羨ましいよ、学校。学友と日々新しい発見に感動するなんて、きっと楽しいだろうなぁ」

ポカリ「…別に、そんないいところでもないよ」

ユーイ「え?」

ポカリ「学校。そんなにいいところじゃない。…今日はこの辺にしとこう?」

ユーイ「そうかい?ポカリ君が言うなら、今日はここまでにしとこっか。次はいつにする?」

ポカリ「明日、昼って話せる?」

ユーイ「お昼かい?僕はいいけど、ポカリ君は学校いいのかい?」

ポカリ「いいよ。じゃ、明日ね」


***


ユーイ「やあ!昨晩ぶり!」

ポカリ「…こんにちは」

ユーイ「こんにちは。今日、学校はよかったのかい?」

ポカリ「いいよ。俺、不登校だから」

ユーイ「おや、そうなのかい?」

ポカリ「もう2年行ってない。中学入ってから一回も」

ユーイ「あれ、ポカリ君高校生じゃなかったっけ?」

ポカリ「あー、あれ嘘」

ユーイ「つまらない嘘をつくなぁ」

ポカリ「…お互い様だろ」

ユーイ「どうして学校行かないの?」

ポカリ「…わかんね」

ユーイ「え?」

ポカリ「俺も、よくわかんねぇ。小学校はまだ普通に行けてた。…あーでも、卒業近くなってきたあたりは、結構休んだかも」

ユーイ「そっかー。じゃあ、普段は何してるんだい?」

ポカリ「ずかずか聞くね」

ユーイ「はじめて通話したとき、君もしてきたから、お互い様かなって」

ポカリ「…普段なー…特に、何もしてない…なぁ」

ユーイ「えー?ずっとぼーっとしてるの?なんだか疲れそう」

ポカリ「ネット漁ったり、ゲームしてみたり…疲れたら寝る…って感じだな」

ユーイ「へぇー…つまり、“何もしてない”んだ」

ポカリ「…」

ユーイ「…とりあえず、まぁいいや。それにしても、家族とか、周りはそんな君を放っておかないんじゃないかい?」

ポカリ「そりゃね。基本無視だなそういうやつらは。…母さんだけ、ちょっと申し訳ないって思うけど」

ユーイ「学校が嫌なのかい?それとも、外へ出るのか嫌なのかい?」

ポカリ「外…もあんまり好きじゃないけど、別に出れるかな。頼まれれば買い物くらいは手伝うし」

ユーイ「へえ!お手伝いしてえらいじゃないか!」

ポカリ「他は何もしてねぇからな。あとついでに俺の好きなもん買えるし。コーラとか、ポテチとか、こっそり」

ユーイ「うーん…なんだか褒めたの損に感じてきた…。それにそこはポカリ買ってきてよ」

ポカリ「その呼び方はあんたが勝手に呼んでるだけだろ」

ユーイ「…それにしても、学校のどういうところが嫌なんだい?」

ポカリ「…わかんねぇんだよな、それが。でも、漠然と嫌だし、しんどい。それに、行っても大していいことはなかった。ユーイさんが思ってるほど、きらきらしてないよ。学校って」

ユーイ「そうなの?僕もよくわかってはいないけど、でもマンガとかゲームではすごく楽しそうに見えるけど」

ポカリ「そういうの見るんだな」

ユーイ「まぁね」

ポカリ「ま、空想は何だっていい感じに作るだろ。その方が売れるだろうし」

ユーイ「そっかー。じゃあ高校とか大学も行かないの?」

ポカリ「…行きたくはないかな」

ユーイ「そっかー」

ポカリ「…でも、行かねぇとな」

ユーイ「そうなの?」

ポカリ「そうだろ」

ユーイ「でも、それこそ『義務教育』じゃないよ?『行ってこい』って言う人なんていないんじゃない?」

ポカリ「現実は違う。ほとんどのやつが高校行くし、大学も行く。それが『普通』なんだってさ」

ユーイ「うーん、よくわからないなぁ」

ポカリ「俺もわかんね。…でも、そんなんだから、やっぱ…不安といえば、不安なんだよな」

ユーイ「どうして?」

ポカリ「ほとんどのやつは高校に行く。さらに多くのやつが中学に問題なく通ってる。そんな中、俺は部屋に閉じこもってる。この先、どうすんのとか、やっぱ不安」

ユーイ「何かやってみればいいじゃない!」

ポカリ「何すりゃいいかわかんない」

ユーイ「うーん…そればっかりは僕からは何も言えないなぁ」

ポカリ「…正直、何のために生きてるか、よくわかんない。何の役にも立ってないし」

ユーイ「え!?」

ポカリ「え?」

ユーイ「何の役にも立ってないって!?とんでもない!!」

ポカリ「…え?」

ユーイ「僕とこうしてお話してくれてるじゃないか!!」

ポカリ「…はぁ?」

ユーイ「僕、羽があるし、ツノがあるし、ちょっと色黒だから、誰かとお話するってなかなかできることじゃないんだからね!!」

ポカリ「…色黒は、関係ないんじゃ…」

ユーイ「とにかく!!ポカリ君は少なくとも僕の役に立ってるよ!!」

ポカリ「………」

ユーイ「………」

ポカリ「…あー…なんか恥ずい…」

ユーイ「シャイボーイなんだねポカリ君」

ポカリ「うるせ」

ユーイ「あはは!ごめんごめん!」

ポカリ「………ユーイさん」

ユーイ「ん?」

ポカリ「俺も、あんたと話せて…その…まぁ………楽しい、よ」

ユーイ「!ほんと!?」

ポカリ「まぁ、ちょっとは…」

ユーイ「よかったー!!嬉しいよ!!ありがとうポカリ君!!」

ポカリ「べつに、たいしたことじゃ…」

ユーイ「いいや!君はすごいよ!実は、君と話すようになって、毎日ちょっとわくわくしてるんだ!!今日は何話そうとか考えてると、楽しくてしかたがない!!」

ポカリ「………ユーイさん、明日」

ユーイ「?」

ポカリ「明日、夜。また話そう。楽しみにしてて」


***


ポカリ「…」

ユーイ「…?ポカリ君?どうした?」

ポカリ「…ユーイさん。俺…だめだ」

ユーイ「?」

ポカリ「学校…行ってみた」

ユーイ「え!?すごいじゃないか!!」

ポカリ「何もっ!!」

ユーイ「え…?」

ポカリ「…何も…ねぇよ…あんなとこ…」

ユーイ「…何か…あったんだね」

ポカリ「あんなとこっ…!!あんなとこっ…!!やっぱり、行きたくない…!!!」

ユーイ「…」

ポカリ「教室に、いると…汗が、震えが、止まらないっ………何であいつら平気な顔してられんだっ…わかんね、わかんねぇ………あー、内臓が、むしゃくしゃするっ…!!」

ユーイ「…ポカリ君」

ポカリ「何でっ、俺だけっ…!俺だけこんな、変なんだよっ………!ごめん、母さんっ、ユーイさん…俺、だめだっ………だめだったっ………!」

ユーイ「ポカリ君」

ポカリ「ごめっ…ごめんっ…」

ユーイ「ポカリ君。君が言うべき言葉は、そんなんじゃないだろう?」

ポカリ「…っ?」

ユーイ「君には言う資格がある。呼ぶに足り得る努めを果たした。何もしない木偶の坊ではない。なら、ほら!言ってごらん!どうしてほしいのかを!」

ポカリ「………お…お願いっ…!」

ユーイ「うん」

ポカリ「…ったすけて!!!!!」

ユーイ「…よく言った」


(窓が割れる)


ポカリ「!!?」

ユーイ「やあ!はじめまして!」

ポカリ「は!?な、何!?どこから入ってきて…!!」

ユーイ「僕、まだまだいっぱい特殊なところがあってね。そのうちの一つに、瞬間移動っていうのがあるんだー」

ポカリ「っつーか…あんた…」

ユーイ「ほら、僕だよ!ポカリ君」

ポカリ「羽…ツノ…ほんとにあんのかよっ…」

ユーイ「嘘つかないもん。君と違って」

ポカリ「…なんだ、それ…なんだそれっ…!」

ユーイ「ポカリ君、たすけに来たよ」

ポカリ「…なんだよっ…なんでっ…」

ユーイ「君が、たすけてって言うからさ。…おいおい、顔ぐっちゃぐちゃだぞ!?あーふくもの何もないなぁ…えっと…よ、よし!!僕の胸をかそう!!おいで!!…うぉっ!?………あはは!そんなに泣きじゃくってると、とても高校生には見えないぞー?………がんばったね、ポカリ君。」

ポカリ「俺…やっぱり…変だっ…」

ユーイ「おいおい、それ僕の前で言うかい?目の前の羽は飾りに見えるかい?まったく…君なんて、僕からしたら普通さ!何も変じゃないよ。そりゃ、人がいっぱいいるところが苦手な人だっているさ!」

ポカリ「でも…それじゃあだめなんだよっ…!!」

ユーイ「そうかな?君は確かに逃げてたけど、動き出すことができたじゃないか。立ち向かおうとしてみせたじゃないか。それで十分さ、たすけを呼ぶ資格なんてね」

ポカリ「でも、あんたが来たって…何ができんだよ…!」

ユーイ「僕のお仕事、何してるかってやつ。忘れた?」

ポカリ「………」

ユーイ「自衛隊じゃないよ?」

ポカリ「…………くっ…ふふっ………!あっはっはっはっはー!!」

ユーイ「お?泣いたり笑ったり、忙しいね」

ポカリ「あっはっは…くくっ………だって!あんたがっ!」

ユーイ「ん?」

ポカリ「あんたが、意味わかんねぇからさっ!…ふっ…くくっ…だめだ、わけわかんねぇけど…笑えて来る…っ!」

ユーイ「…ポカリ君」

ポカリ「くっ…ははっ…な、何?」

ユーイ「誰よりも変で、意味わかんない僕だけどさ、君を笑わせることができたんだ。…だからね、羽が無くたって空を飛べるだろうし、瞬間移動ができなくたって行きたい場所に行けるはず。何だってできるんだ!多少人と違うくらいでは、君の可能性は潰えたりはしない。与えられた道を歩かなければいけないなんて、誰も言ってないさ」

ポカリ「…あんたみたいに、窓割っててもか?」

ユーイ「あ…そ、それはごめん…」

ポカリ「母さん夜勤でいなくてよかったな…くくっ」

ユーイ「うう…。と、とにかく!大事なのは、前に進もうとすること!立ち止まっていたって何も始まらない!」

ポカリ「…前に、か」

ユーイ「そう!」

ポカリ「………何してれば、前に進めてるんだろうな」

ユーイ「それは誰にもわかんない。でも、一つ道を示してあげる」

ポカリ「…?学校行けってか?」

ユーイ「ううん。それはだめだったんだから、違う道を行ってみようよ」

ポカリ「…じゃあなんだよ」

ユーイ「ポカリ君。あのね…」

ポカリN「この日から、俺は…」

ユーイ「僕と一緒に、ひとだすけ、やらない?」

ポカリN「誰も知らない道を、突き進みだすことになった」

FIN.

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