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​世界樹の種

〇ロト♂ 

21歳。ヘタレメガネ。弱々しく頼りにならないが、人を思いやることに長けた優しい性格。童顔で歳のわりに幼く見られることも多い。
昔いじめられていたところをベルに助けてもらって以来、ずっとベルと共に行動してきた。
〇ベル♂ 
21歳。強気元気ツンデレ。ガキ大将のような男。幼いころからロトを引っ張っていっていた。
〇ルーシー♀
18歳。めちゃくちゃ強いお嬢様。超ドSだが、そのカリスマ性からついていく人が多い。基本的には銀製の剣を使って戦う。ガーディアンとして世界樹を護る傍ら、街の権力者としてその治安維持にも尽力している。世界樹を囲うように屋敷を建て、樹とその周辺を庭と呼ぶほどに傲慢。
〇ジーク♂ 
15歳。バカ。イメージしたものを創造する異能を持つ。しかし創造した物は10秒で消える。ルーシーに勝つその日を夢見ている。ガーディアンとして世界樹を護っている。
〇ヨーゼフ♂ 
35歳。老人のように落ち着いた雰囲気のルーシーの執事。しかし感情をあからさまに表に出すことも多い。
〇ゴロツキ♂ 
20~40歳。いい大人。お金に困っている。常識とか他の人のこととかは考えない。


(4:1)
ロト♂:
ベル♂:
ルーシー♀:
ジーク♂:
ヨーゼフ・ゴロツキ♂:

※ロトとベルは幼少期も兼任。 例:ロト(幼)


***


ヨーゼフ「お嬢様。ご支度ください」

ルーシー「わかっているわ。私の庭ではしゃいでる犬がいるようね」

ジーク「なぁおい、よくいるゴロツキだろ?俺一人で十分だっつーの!」

ルーシー「バカねジーク。たとえどんなに小さな犬でも、私の庭を無断で踏み荒らすなんて…躾をしなくちゃいけないでしょ?」

ジーク「………はぁ…嬉しそうに言うなよな………っ!」(ゴロツキに気づく)

ヨーゼフ「お嬢様!」

ルーシー「わかっているわ…」

ゴロツキ「へっへっへ…これが世界樹…!!こいつの枝でも折って売れば、相当の金が…」

ジーク「させるか…よっ!!」

ゴロツキ「っ!?てめぇら…まさか…ガーディアンか!?」

ルーシー「あら、知ってて来たの?なおさらどうしようもないわね。………さぁ、お仕置きの時間よ」


***


ロトN「昔から物覚えが良くて、そのおかげでテストの点数は良かった。だけど、運動はからっきしなもんだから、喧嘩で誰にも勝てなかった。親もいない、友達もいない、そんな僕は誰にすがることもできず、ただ泣いていた。…だけど」

ベル(幼)「おい!これ以上ロトをいじめんな!」

ロトN「目の前に現れたヒーローは、いつもかっこよかった」

ベル(幼)「おいロト、大丈夫か?ケガしてないか?」

ロト(幼)「うん…ごめんねベル」

ベル(幼)「ったく、ロトも言い返した方がいいぞ!カンニングなんてしてないってさ!」

ロト(幼)「うん…ありがとう」

ベル(幼)「………ったくほんと、俺がいなかったらどうなってたことかねぇ!」

ロト(幼)「へへ………でも、いてくれるじゃん」

ベル(幼)「………しょーがねぇからなっ!」

ロトN「僕とベルは、歯が生え変わり始めるような子供のころからずっと一緒だ。お互いに二十歳を過ぎているが、それでも変わらず一緒にいる」

ベル「ロトぉー勉強教えてー…期末考査やべぇわー…」

ロト「いいけど、ベル途中で寝ないでよ?」

ベル「ね…寝ない寝ない!ダイジョーブ!俺を信じてー!」

ロト「まぁ、寝て困るのはベルだしね」

ベル「うぐっ………。なぁロト、世界の消滅ってまた起こると思うか?」

ロト「え?世界樹が守ってくれてるから、大丈夫だと思うけど?」

ベル「そう、その世界樹。ここからじゃ遠くてよく見えねぇし…期末考査終わったらさ、一回近くでおがみに行かね!?」

ロト「え…うーん、いい考えだとは思うけど…世界樹の近くって、物騒だって聞くから…ちょっと怖いかなー…」

ベル「ったく、ロトは本当にビビりだな!大丈夫だって、俺がいるだろ!」

ロト「くすっ………そうだね!」

ベル「へへっ!お前すぐ迷子になりそうだからな、俺から離れるんじゃねぇぞ!」


***


ロト「………は…はぐれた………ここ、どこ………?あー…ベルごめん、やっぱり迷っちゃった…僕ってやつは………はぁ」

ロトN「すれ違う人がみんな怖い。だめだ、一人で人混みにいるとどうしても、いじめられてた時の記憶が…フラッシュバックして………怖い、怖い怖い怖い」

ルーシー「メガネ、落としましたよ?」

ロト「へ?あ、僕…?」

ルーシー「ええ。…えっと、随分と顔色が悪いようですが…」

ロト「あ…あぁ、すみません。初めてきた街で…ちょっとはぐれちゃってて…」

ルーシー「それは大変ですわ!一緒に探しましょう!」

ロト「え、ほ…本当ですか!?ありがとうございま…」

ジーク「ルうううううシいいいいいい!!」

ロト「すっ!?」

ジーク「今日こそ勝あああああつ!!」

ロト「剣持った…人が…降ってきてる…!?」

ルーシー「はぁ…相変わらず」

ジーク「ぐはっ!!」

ルーシー「私の蹴りが好きね」

ジーク「ぐぬぬ…まだ、俺は負けてねぇええ!!」

ヨーゼフ「おやめください」

ジーク「あああ!!とめんなヨーゼフ!!俺はこの鬼畜女をだなぁ!!」

ヨーゼフ「!!いけません、ジーク様!!」

ルーシー「………はぁ?」

ジーク「し、しまった…」

ヨーゼフ「お嬢様!落ち着いてくださ…」

ルーシー「落ち着いているわ。ジーク…私のことなんて呼べばいいか、教えなかったかしら…?」

ジーク「………じょ、女王…様…」

ルーシー「あら…よぉーく、わかってるじゃない…?」

ヨーゼフ「お嬢様!それ以上はいけません!!」

ベル「あ!ロト!!いたいたー!!」

ルーシー「?」

ロト「ベ、ベル!会いたかったけど!!い、今なんだね!?」

ベル「ん?何言ってんだ?…んなことより、もうはぐれんなよ?結構危ない奴ちらほら見かけたしさぁ」

ロト「ご、ごめん」

ルーシー「お連れの方と再会できて、良かったですね」

ロト「ひっ!?あ、はい…ありがとうございます」

ベル「うわ!めっちゃかわいい女の子!ロト…お前…」

ロト「違う違う違う違う」

ルーシー「折角の旅の途中に、見苦しいものをお見せてしまい申し訳ありません。お詫びと言ってはなんですが、この執事を街の案内係としてお貸しいたします。ああ、いらなければ『帰れ』と言ってくだされば、その場を速やかに立ち去るように仕込んでありますので、そのようになさってください」

ロト「仕込むっ!?」

ルーシー「じゃあ、私はこのバカを連れて屋敷に帰るから、ヨーゼフあとよろしくね」

ジーク「誰がバカだ!おい!引きずるな!!」

ヨーゼフ「承知いたしました。お気をつけてお帰りください」

ロト「…」

ベル「…なんか、嵐みてぇな子だな…」

ヨーゼフ「さてと。案内役を仰せつかりました、執事のヨーゼフと申します」

ベル「あ。俺はベル!よろしく!」

ロト「僕はロトです。よろしくお願いします」

ヨーゼフ「時に、この街のどこに行きましょうか?…というのは愚問のようですね」

ベル「俺達、世界樹をできるだけ近くでみたいんです!」

ヨーゼフ「かしこまりました。この街で最も眺めの良い場所へご案内いたします」

ベル「よっしゃー!」

ロトN「なんだ、危ない街だって聞いてたけど、いい人も結構いるじゃないか」


***


ジーク「なぁルーシー様よぉ。やけにさっきの観光客に優しかったじゃねぇか。初めて見たぜあんな態度」

ルーシー「何言ってるの。私はいつも優しいじゃない」

ジーク「そういうことが聞きたいんじゃねぇんだよ」

ルーシー「…世界樹っていう恰好の名物があるっていうのに、観光客は減る一方…どうしてだかわかるかしら?」

ジーク「そりゃ、やべー奴らが多いからだろ」

ルーシー「そうね。あんたみたいな"異能"持ちも多くて困っちゃうわ」

ジーク「どーもスミマセンね、何でも作り出せちゃう創造の神様で!」

ルーシー「10秒で消えるくせに。神に謝りなさい?踏み潰すわよ?」

ジーク「神様ごめんなさい」

ルーシー「だから、ちょっとでも評判良くしていかないと、観光客が来なくて、街の外からの収入が減って、財源がカラカラになっちゃうのよ。わかるかしら?」

ジーク「はぁ…世界樹護って街も護って、おまけに観光大使まですんのかよ…」

ルーシー「それくらい当然よ。何せ、私はこの街の女王なのだから」

ジーク「あのなぁ女王様。普通そこは『ガーディアンだから』とか言うもんだぜ?使命感持てよ」

ルーシー「使命?はっ!笑わせないで?私は、世界樹も街も、護って"あげてる"のよ」

ジーク「はぁ…ほんとめんどくせー…」


***


ヨーゼフ「ベル様とロト様は、世界樹についてどのくらい知っておられますか?」

ベル「どのくらい…っつっても…」

ロト「世界の消滅から世界樹が護ってくれている…ってことくらいです…」

ヨーゼフ「そうですか。世界の消滅についてはいかがでしょうか?」

ロト「いろんな説がありますが…僕達人間が星を汚した罰だっていうのがよく言われている説ですよね」

ヨーゼフ「お詳しいですね」

ベル「まぁな!俺達その辺専攻してっから!」

ロト「ベ、ベル!専攻してるだけでまだ知識が浅いんだから…!」

ヨーゼフ「なんと…お二方は学徒様でいらっしゃいましたか!」

ロト「そ…そんな"様"がつくようなことは何もできていませんが…」

ヨーゼフ「それではぜひ知っていただきたいことがあります」

ベル「え、なになに!?」

ヨーゼフ「消滅から世界を護っている世界樹…このとても大切な樹を護っている者達のことを」

ロト「世界樹を…護る…?」

ベル「まぁ確かに、めちゃくちゃ大事な樹なんだから、いてもおかしくないよな」

ヨーゼフ「世界樹を護る者達のことを『ガーディアン』と言います」

ロト「ガーディ…アン…」

ヨーゼフ「はい。先ほどお会いになられましたルーシーお嬢様と、側にいらっしゃったジーク様もガーディアンでございます」

ロト「あの怖い人達かぁ…」(小声)

ベル「あんな強そうな人達がいたら、樹も安心だろうな!」

ロト「まぁ…確かに…。でも、世界樹を傷つけようとする人たちっているのかな?だって、世界が消滅しちゃうかもしれないんだよね?」

ヨーゼフ「残念ながら…興味本位で汚そうとする者や、欲に目が眩んだ者が跡を絶ちません。また、最も警戒すべ…き………は………」

ロト「えっ!?あ…れ………」

ベル「そう、最も警戒すべきは7体の悪魔。傲慢、憤怒、嫉妬、強欲、暴食、色欲…そして怠惰。これら7つの罪であり、欲を司る悪魔達は、世界の消滅を望んでいる。…俺のようにな。悪いが二人とも………怠惰に寝てろ」


***


ルーシー「っ!?」

ジーク「…?どうしたお嬢さん?」

ルーシー「…また庭を荒らされているわ」

ジーク「その様子…もしかして」

ルーシー「ええ。欲にまみれた悪魔ね」

ジーク「…はぁ、まじかよ…。ヨーゼフもいないし、他のガーディアン達も出払ってるし、俺達二人だけでいけんのか…?」

ルーシー「何を言ってるのかしら」

ジーク「あ?」

ルーシー「庭の手入れくらい、別に私一人でもできるわ?」

ジーク「………ほんと、かわいくねぇな、お嬢さん」


***


ロトN「昔から目が良くて、いろんな物が見え過ぎていた。幽霊とか、妖怪とか…人の心とか。記憶力も良かったから、嫌なものを見てもなかなか忘れることができなかった。特に、人の心ほど怖いものはなかった。人は優しいから、醜い部分を心にしまっておく。そのギャップに耐えられなくなった僕はいつしか、メガネをかけてぼんやりと世界を見るようにしていた」

ベル(幼)「………きろ…起きろ………」

ロト(幼)「ん………」

ベル(幼)「起きろ…起きろってば、ロト!」

ロト(幼)「うわあ!?ベ、ベル!?」

ベル(幼)「ったくやっと起きたか…ほら、さっさと準備して学校行くぞ!」

ロト(幼)「ええ………だって、また痛いことされるよ…怖い………」

ベル(幼)「あのなぁ…あんなザコ、俺にかかればどーってことねーよ!」

ロト(幼)「…ベルは、強いから…」

ベル(幼)「いーや、違うね!ロトが弱いだけだ」

ロト(幼)「うぐぅ…」

ベル(幼)「おら!ごたごた言ってないで、学校行くぞ!」

ロト(幼)「わわっ待ってー!」

ロトN「結局、ベルの心を見たことは一回も無かったな…。………でも、君が人間ではないこと、実はとっくに見えてたんだ」


***


ベル「………お。起きたかロト」

ロト「…ベル?」

ベル「見ろよこの世界樹。このでっかい樹一本で今、世界は保たれてるなんて…想像できねぇよな!」

ロト「…うん、そうだね」

ベル「でもこの樹、もうすぐ寿命なんだぜ?」

ロト「え、そうなの?」

ベル「ああ。だがこのクソみてぇな樹は種を残した」

ロト「種…」

ベル「お前のことだよ、ロト」

ロト「!?」

ベル「ごめんなぁ俺実はずーっと前から知ってたんだよ、お前が世界樹の匂いぷんぷんさせてっからさぁ。すぐに殺さなきゃいけなかったんだけどよ、まあ俺…怠惰の悪魔だからさ。かれこれ15年も怠けてみちゃった。でもまぁそろそろ仕事するわ。種も、目の前の世界樹も、殺す………が、その前にぃ」

ロト「っ!?だめ、ベル、メガネ返して!」

ベル「裸眼の方が似合うぜ?さあ、その目で世界樹を"視ろ"!んで、その情報を俺に教えてくれ!」

ロト「い…嫌だ…」

ベル「ほら目ぇ瞑るなよ!開け…ろっ!」

ロト「い…やだ…いやだ………う、うわああああああ…ああ……あ………」

ベル「………あれ?おいロト?…あー、気ぃ失ったか…。くっそ、どうすっかなぁ…世界樹が見た世界の消滅………その情報持って帰らねぇといけねぇんだけどなぁ…」

ルーシー「なるほど。あんた達もそれ、知りたいんだ」

ベル「…あー来ちゃったか」

ジーク「ったああああああ!!」

ヨーゼフ「はああああああ!!」

ベル「おっと危ね!…って、執事起きてたのか…俺の能力鈍ってるなぁ」

ジーク「あ!あのへたれメガネ観光客死んでねぇか!?」

ルーシー「あんた本当にバカね」

ジーク「ああん!?」

ヨーゼフ「おそらく、度の合わないメガネで過ごすことによって、力を使わずに済むようにしていたのでしょう…それにも関わらず、一気に千年分の記憶を視させられては…気も失いましょう」

ジーク「あ…?どういうことだ…?」

ルーシー「生まれたての赤ん坊にフルマラソンが走れると思う?」

ジーク「そりゃ無理だな」

ベル「さて…。人間3人で、俺に勝てるかな?」

ルーシー「あら、おかしなことを言うのね」

ベル「ほう?」

ジーク「そうだそうだ!なぜなら俺はただの人間じゃなくて"異能"持ち…」

ルーシー「(前のセリフに被るように)女王1人と下僕2人の間違いでしょ?」

ジーク「なっ!?」

ヨーゼフ「はっはっは!」

ベル「…いいさ女王様。かかってこいよ…!!」


***


ロト(幼)「ぼ、僕の名前はロト…。よ…よろしく………ね?」

ベルN「弱い。とろい。警戒心がまるで無い。…瞬殺できると確信した。だけど…」

ロト(幼)「うわあ…!やった!は、初めて友達できたっ!」

ベルN「何でかわかんねぇけど、15年も怠惰に手を繋いでいた」

ロト(幼)「ねぇねぇ!好きなことは何?苦手なことは?…あ、いきなりごめん…ちょっと舞い上がっちゃって…」

ベルN「怠惰に、怠惰に…。15年なんて、あっという間だったな」


***


ルーシー「あら、もう終わり?」

ベルN「…あれ、俺何で横たわってるんだ…?」

ルーシー「口ほどにも無かったわね」

ベルN「ああそうか…この女に…負けて………なんつー強さだよ…お前の方が…」

ベル「あく…ま…」

ルーシー「へぇ、元気そうじゃない」

ジーク「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…」

ヨーゼフ「はぁ…はぁ…元気なのは…お嬢様だけで…ございます…」

ルーシー「ちょっと、やる気あるの?」

ベルN「体動かねぇ…あー、俺死ぬんだ………」

ベル「ロ………ト………」

ルーシー「おとなしく死になさい、クソ悪魔っ!」(剣を振り下ろす)

ロト「ダメだっ!!ぐっ…!!」

ルーシー「!?」

ジーク「ヘタレメガネ!?」

ヨーゼフ「なんという…!」

ロト「あ…くっ…」

ルーシー「何やってんのよあんた!!」

ロト「待って…僕、ベルと話さなくちゃいけないんだ…」

ベル「ロ…ト…?」

ロト「僕…ベルの心見たよ」

ベルN「そうか、メガネを外したから…俺の心も見えたのか…」

ベル「何、見てんだよ…」

ロト「ベル、泣いてた」

ベル「んなわけあるか…」

ロト「ずっと苦しかったんだね」

ベル「清々してるわ…」

ロト「僕なんかのこと…こんなに…」

ベル「お前なんて早く死ね…」

ロト「初めから…勇気をだして…向き合っていれば…」

ベル「何も変わんねぇよ…」

ロト「ベル…君と友達になれて…よかった」

ベル「…ああ、それは………俺もだわ…」

ロト「それが…心からの言葉で…よかった」

ベル「どうだろうな…俺は、悪魔………だか………ら………」

ヨーゼフ「………逝ったようですな」

ジーク「うぅ…ひっぐ…ぐすっ…ずびー」

ルーシー「ちょっと、鼻水庭に垂らさないでよ!?」

ロト「みなさん…僕のわがまま聞いてくれて…ありが………と………う………」

ヨーゼフ「………逝ったようですな」

ジーク「うぅ…ひっぐ…ぐすっ…ずびー」

ルーシー「あんた達バカなの!?こいつまで死んだらダメでしょ!?世界樹の種が私の剣で死んだなんて…そんなのダメよ!!急いで治療しなさい!!ほら早く!!」

ジーク「うわあああ死ぬなあああヘタレメガネえええ!!」

ヨーゼフ「今はメガネを外しておりますが」

ジーク「死ぬなああああヘタレええええ!!」


***


ロト「え…えーっと………僕は帰れないの?」

ルーシー「帰すわけないでしょ?バカなのかしら」

ロト「ええ…」

ヨーゼフ「世界樹の種であるということは、我々ガーディアンはロト様を全力でお護りする必要があるということですので」

ジーク「ついでにお前も使えそうな能力持ってるから、一緒にガーディアンやんぞ!」

ルーシー「別に頼りにしてないわ。私一人で十分だもの」

ヨーゼフ「お嬢様。ツンケンなさる前に、まずはロト様に謝罪をするのが無難かと」

ルーシー「謝罪?この私が?」

ジーク「お嬢さんヘタレメガネの腹に穴開けたじゃんか」

ルーシー「!?」

ロト「あーいいよ。ちゃんと治って、僕生きてるし…」

ジーク「ロトだめだぜ?上に立てる時は徹底的に上に立ってないとぉ?」

ルーシー「…っ」

ジーク「お嬢さんどうしたぁ?ほうらほうら、ロトに謝ったらどうなんだぁ?え?」

ヨーゼフ「ジーク様…あまりお嬢様を煽っては…」

ルーシー「ロト。今回は本当に申し訳なかったわ。深くお詫びいたします」

ロト「いや、全然いいよ」

ルーシー「さぁてジークぅ?」

ジーク「ひっ」

ルーシー「覚悟は、できてるんでしょうねぇ?」

ジーク「ひゃあああああああ!!」

ロトN「ベル…今度は僕が、誰かのヒーローに…なれるかな?」

FIN.

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